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細菌の概要
※本ページは『水浄化フォーラム』より転載しています。
<謝辞>
「水」の安全確保と環境保全に係る知識と技術を、「水の浄化」に関わる方への参考となるサイトとして『水浄化フォーラム』を執筆・編集・管理いただいている
環境技術学会 村上理事に心より感謝申し上げます。
<目次>
1.生物の誕生と進化
2.人と細菌との関係
3.細菌の分類と名前
4.細菌の構造
5.細菌の増え方
6.他遺伝子の導入と細菌の形質変化
7.ウイルス・細菌・カビの違い
8.細菌の免疫機構
地球上には、動物・植物・昆虫・キノコ・プランクトンなど、いろいろな生物が生きている。これらの生物は肉眼で見える生物である。この他に、目に見えない極めて小さい生物、微生物がいる。微生物は、地球上で最も種類や数が多い。
食べ物を放置するすると、腐ってしまう。漬物は野菜に塩をふっただけでできる。手に傷のある人が作ったおにぎりを、しばらくして食べると腹を壊してしまうことがある。
海・川・地表・土壌など地球上のいたるところに微生物が生きている。熱い温泉・火口周辺や高濃度の塩湖の中にも目に見えない微生物が生きている。人間の口・胃・腸・皮膚にも、たくさんの微生物が棲んでいる。様々な活動を行っていて、人の役に立ったり、反対に危害を及ばしたりする。
本一連のシリーズでは、細菌を主に紹介するが、古細菌や微細な藻類ついても触れる。古細菌は、以前には、細菌の仲間として扱われていたが、研究によって細菌とは全く異なる生物であることが分かった。藻類については、様々な形態(核を包む膜の有無、微細型から大型、生活環など)があるが、微細なものを含めて説明する。ウイルスは、一般的には生物でないとされるが、ここ十数年の間に、様々な種類が発見されるようになり、生物との関わりが深いので含めて取り扱う。本ページでは細菌について説明する。
<謝辞>
本ページでは、「北元憲利:微生物学、講談社(2016)」(Amazon Kindle版)のイラスト(Kindleと付記)を多く引用している。初学者にもわかりやすい内容で、お勧めしたい書籍である。他の引用については、それぞれの該当箇所に記載した。
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1.生命の誕生と進化
地球上にいる多種・多様な生物も、これらを辿っていくと1種類の生物に行きつくと考えられている。細菌は生命が誕生した直後に現れたとされ、我々人間の大先輩である。
地球誕生は、約46億年前といわれる。誕生したばかりの地球は、表面はマグマで覆われていたが、少しずつ冷えていき、やがて水の海が形成された。約40~35億年前に生物が誕生したとされ、世界最古の生物の痕跡は西オーストラリアで発見された約35億年の前の化石である。
約27~21億年前に、光合成によって酸素をつくり出すシアノバクテリアが出現した。それまで酸素の無かった地球上に酸素が増え始め、環境が大きく変わっていった。
酸素がつくり始められたころの生物にとって、酸素は極めて有毒であった。しかし、約20億年前になると、酸素を使ってエネルギーを高率に生み出す細菌が出現した。さらに、一部の古細菌は、酸素からエネルギーをつくる細菌を自分の体内に取り込んで、動植物などにつながる真核生物が誕生した。
約5億4200万年前のころには、海ではたくさんの細胞からなる多細胞生物が登場し、カンプリア紀に様々な種類の生物が一気に誕生した。
約4億年前までに、生物は海の中で多様に進化した。さらに、この時期に生物は陸上へと活動の場を広げていった。まず、4億7500万年前ごろ植物が陸へ上がり、その約1億年後に動物が陸上に姿を現すようになった。
約700万年前、サルの仲間である霊長類の中から、人類の祖先が現れた。人類は二足歩行をして、自由になった両手によって、道具をつくるために脳が発達したといわれる。
<解説>生命の誕生
生命が誕生する以前には、図1に示すように生物の基本物質であるアミノ酸・核酸塩基・脂肪酸・糖の原料となる物質群が存在し、加えて、これらの基本物質の合成反応に必要なエネルギーが太陽・微惑星や地球上の火山・雷などから供給されていた。原子生物が誕生するまでの過程は以下のようなプロセスが考えられている(図1の引用文献を参照)。
原始大気や原始海洋の中から、①反応活性物質といわれるシアン化水素、ホルムアルデヒドなどができる、②反応活性物質からアミノ酸、核酸塩基、糖、脂肪酸、炭化水素などができる、③これらからタンパク質、核酸、多糖、脂質などの高分子ができる、④これらが集合・作用しあって(自己組織化)、代謝、複製機能を持つ原始生物(細胞)が誕生した。
最初の生物はRNAを利用しいたらしい(RNA世界)。RNAには自己を複製する能力がある。またRNAは遺伝情報を伝えることができるばかりではなく、タンパク質の合成の触媒にもなれる。現在でも、メッセンジャーRNA(mRNA)が遺伝情報を伝達し、トランスファーRNA(tRNA)がその指示に従ってアミノ酸を運び、リポゾームRNA(rRNA)がタンパク質を合成している。自然界で、RNAとタンパク質のどちらが先にできていたかは明らかでないが、お互いに利用しあって(いわば分子レベルの共生により)、より高度な触媒機能を持った酵素を作っていったのだろう。
そのうちに、RNAより安定性の高い、すなわちより分解されにくい、また自己修復能力を持ち、2本鎖(1本鎖のRNA現在より安定)のDNAが利用されるようになった。そして現在の大多数の生物の情報伝達の道筋、DNA→(転写)→RNA→(翻訳)→タンパク質という、いわゆるセントラルドグマが完成したのだろう(関連ページ)。DNAを作り出す能力を持つレトロウィルスは、RNA世界から現在のDNA世界への移行期の化石的なものなのかもしれない。
いずれにしても、タンパク質のもととなるアミノ酸を指定する言葉(暗号、コドン)が、現在のどの生物でも同じであることは、われわれ地球上の生物は、遠い昔に共通の祖先(単一の祖先)を持っていることを強く示唆している。生命の化学反応はゲノム情報を元につくられたタンパク質が制御していて、また、ゲノム情報の発現にはタンパク質が制御しているので、ゲノムとタンパク質との相互関係は、生命の誕生前に構築されていたのであろう。
遺伝情報の発現(DNA → RMA → タンパク質)については、別ページで記載する。
図1 生命の誕生
<解説>生命
生命の基本機能は代謝と遺伝である。代謝は、同化と異化の2つに分けられる。①合成反応によって生命を維持するために必要な物質をつくることを同化という。また、②合成反応の推進力(エネルギー)が必要で、この力を得る化学反応を異化という。遺伝とは、生命(自己)をコピーして子孫を残すことである。
ウイルスは、遺伝の機能を有するが、自己をコピーする機能は、他の生命(宿主)へ侵入し、その機能を利用して、自己をコピーして子孫を残す。ウイルスは物質と生命の中間にあり、現在のところ、生命には含まれていない。しかし、ここ10数年の間に、不完全ではあるが自己をコピーするために必要な一部の機能を有するウイルスが次々と発見されている。ウイルスが進化して原始細胞になったとする説と原始細胞が進化する過程で、代謝機能を捨て遺伝機能のみを持つ身軽なものになったとの説がある。ウイルスの宿主細胞への侵入と増殖の分子化学的解説は別ページで詳しく解説する。
<解説>生命の進化
生命は、それぞれの環境に適したところに生息する。生命の設計物質である遺伝子(ゲノム)のコピーの過程で、内的・外的な何かの原因でコピーに間違い(ミスコピー)が起こる。このミスコピーは、その環境に適さないもの、または、その環境により適合したものが同じ確立で起こる。より適合したミスコピーは数を増やし優占種となる。生命が生息する環境は常に変化しており、その環境へ適合したミスコピーは生き残ることができる。また、ミスコピーは別環境へ移動・適合し、その子孫を残することが可能となる。進化は、その生命が生き残るために起こるのではなくて、偶然のミスコピーがそれぞれの環境に適合できたことの結果である。
図2 生命の進化と分岐 (引用:出典先を各写真に表記)
生命の誕生と進化
2.人と細菌との関係
微生物は、良い・悪いの両面から私たちの生活・産業と深く関っている。ここでは、それらの具体的な事例を簡単に説明する。
(1)発酵と腐敗
腐敗と発酵はよく似ていて、微生物の働きによるものであるが明確な区別はない。人に有益な働きを発酵、害を及ぼす働きを腐敗と
いう。
(2) 病気
微生物の中には、体の中で増殖することで、毒素を出したり、免疫システムに影響を与えたりして、病気を引き起こすものもいる。
(3) 劣化・腐食
金属表面に微生物が付着・増殖して、サビの形成や腐食(サビて崩れる)を起こす。自然界では、岩石に付着・増殖して、その風化
を促進するものもいる。
(4)食物
ヨーグルト、チーズ、醤油、味噌、酒など、微生物がつくる食品が多くある。微生物のこのような働きを発酵という。
(5)健康
人の体には、多数の微生物が棲みついている。このような微生物を常在微生物という。常在微生物がいることで、腸・皮膚など、
病気の原因となる悪性の微生物の増殖・拡大を抑止している。
(6)日用品
洗濯洗剤には、汚れを落とす働きのある酵素は、微生物から発見されたものもある。古くから伝わる染め物にも、微生物が活躍して
いるものがある。
(7)薬
微生物は病気の原因にもなるが、薬のもととなる抗生物質をつくる微生物もいる。また、家畜や作物の病原微生物や害虫を駆除する
役割を果たす微生物も多数見つかっている。
(8)浄化・循環
微生物は、動植物の排泄物・遺体を分解して、別の物質に変換する働きがあり、地球上の物質循環に大きく関っている。
また、人工的に合成された難分解性物質を分解する微生物も見つかっている。
人と細菌との関係
3.細菌の分類と名前
3-1. 細菌の分類と形
細菌は、発見されて名前が付けられているものだけでも1万種ほどいる。これはほんの一部で自然界にいる細菌は100万種以上と考えられている。この膨大な細菌はどのように分類されているのか、簡単に紹介する。
(1)核酸による分類
細菌の細胞質には、タンパク質をつくる装置の役割をするリボソームというものがある。このリボソームに含まれるリボ核酸(RNA)
は分析しやすく、細菌同士が近い関係にあるのかどうかわかる。そのため、最初にRNAを調べて大まかに分類し、その後で細菌の詳
しい構造や栄養の取り方などを調べて、細かく分類する方法が主流となっている。
(2)染色による分類
RNAの分析ができる前には、デンマークの医師・細菌学者よって発明されたグラム染色によって分類されていた。グラム染色では、
細菌を色素で染色し、青紫色に染まるものをグラム陽性細菌、赤色に染まるものをグラム陰性細菌としている。グラム染色では分類
できない細菌もあり、現在、生物分類学ではあまり使われていない。しかし、グラム染色および顕微鏡での形状観察と合わせて、短
時間での細菌検査が可能であり、細菌学での基本的な分類法して、保健・医療での細菌感染の診断法として利用されている。
(3)形による分類
細菌を分類するとき、形も重要な情報となる。細菌は大きく分けて、球状の球菌と棒状の桿菌に分かれるが、桿菌には細長いもの、
短いものなど、様々な形をしている。らせん状に巻いているもの、いろいろな形に変化する多形性を示す細菌などもいる。
3-2.分類・学名・和名
生物の分類の基本は単位は種である。リンネ(1758年)は、種より上位に属、目、綱という分類単位を定め、生物を段階的にグループ
化した。この方法は現在に引き継がれ、今では、ドメイン、界、目、科、属、種という8階層の単位を用いて分類が行われている。種
は、共通する遺伝情報や特徴をもつ生物を同じグループにまとめたものである。
生物のよび名は、同じ生物でも国や地方によって異なっている。学術的な種の名前は世界共通の学名によって表記される。学名のつ
け方は、国際的な約束によって定められており、現在ではリンネの確立した二名法が用いられいる。
二名法は、属名と種名という2単語で表され、ふつうラテン語が用いられる。属名は名詞であるため、最初の文字を大文字で表し、種
小名はふつう形容詞であるため小文字で表す。例えば、ヒトの学名はHomo[属名] sapiens[種名]である。ヒトという日本語の名前
は和名とよばれる。
本webで紹介する細菌は、標準的な日本語の名前で示し、和名がない場合には学名をラテン語(通常、イタリック体)で示す。大腸
菌は、Escherichia[属名] coli[種名]でよばれ、それぞれ性質が異なるものについてO157:H7のように細かく記載され、さらに株
として名前がつけられている。記号OとHの意味については、4.2 基本構造(2)細菌の付属器官で説明している。
表1 生物の分類と事例
<解説>細菌の分類と同定
現在、解析対象となる細菌が多様化している。細菌の分類や同定を行う際には、生物全体に共通していて汎用性の高い遺伝子を用いた解析法が主流となっている。系統解析には、原核生物では16S rRNA遺伝子、真核生物では18S rRNA遺伝子が広く用いられている。rRNAは、生物に必須のタンパク合成装置(リボソーム ribosome)の遺伝子である。ウイルスにはrRNAが存在しない。リボソームを形成するRNAには複数の種類がある。それぞれ特有の「沈降係数S(Svedberg値)」とよばれる、遠心分離を際にチューブの中をどれだけ沈んでいくかを数値化したもので、細菌には16S、23S、5Sの3種類のrRNAがある。16S rRNAはすべての原核生物が保有するリボソームRNAであり、真核生物でこれに該当するのは18SrRNAである。
図3 細菌のrRNAの構成と16SrRNA遺伝子の配列
(引用:大楠清文・江崎孝行、分子系統解析に元図板細菌の分類と同定、Sysmex Journal Web, Vol.2, No.2,pp.1-12, 2009)
細菌のrRNAは16S、23S、5Sの3種類で構成されている。16SrRNAには属レベルを超えて共通な塩基配列である保存領域が10カ所ほど存在するので、これらの領域を標的としたPCRプライマー(8UA primer & 1485Bほか)を用いて、菌種にかかわらずほぼ全域を増幅することができる。一方、16S rRNAの可変領域には菌種(属)に特異的な領域があり、ある菌種だけを検出するプライマーを設計する際には、これらV1~V10の塩基配列情報を用いる。特にV3領域には菌種に特異的な配列が多い。
3-3.大きさと形態
(1)大きさ
細菌の大きさは約0.5~5μmである。約1,000倍(接眼レンズ10倍×対物レンズ100倍)の倍率をもつ光学顕微鏡で見ることが可能
でであるが、それでも1μmの細菌だとせいぜい1mmの大きさである。ウイルスの大きさは10~300nmで、電子顕微鏡で観察する。
細菌は細菌ろ過器(約0.2μmの穴)を通過できないが、ウイルスは通過する。ただし最近、0.5μm以上の巨大ウイルスが発見されて
いる。
図4 細菌の大きさ
(2)形態
細菌の形態は、図5に示すように、球菌coccus、桿菌bacillus、らせん菌(ビブリオVibrio、スピリルムSpirillum、スピロヘータ
Spirochaeta)に大別されている。
同じ桿菌でも種によって長さは様々である。同じ球菌で、双球上、連鎖状、ブドウ房状など特有な配列を示すものがいる。リケッチ
ャやクラミディアは多形性を示す。マイコプラズマは細胞壁をもたい細菌で、アメーバのように自在に形を変えることができる(細
菌ろ過器を通過できる)。
ヒトにもそれぞれ顔があるように、細菌も形態や配列に違いがあり、個々の細菌を識別する際に役立っている。
図5 細菌の形態と配列(kindle)
3-4.エネルギー代謝による分類
生物は自己の維持と増殖(合成)に必要なエネルギー(以下、エネと略称)を自己生産できるものと外部からエネ源を摂取するもの
に大別される。自己でエネ生産を行うものを独立栄養生物、外部エネ源に依存するものを従属栄養生物という。細菌類も同様に、独
立栄養と従属栄養のものが存在する。従属栄養細菌は、有機物質を摂取して、これを分解(異化)反応によってエネを得ている。一
方で、独立栄養細菌は光エネ吸収または無機物質反応により、エネを得ている。
表1に独立栄養細菌のエネ源と細菌種を示す。いずれも出発物質から水素イオンH+および電子e–を取り出し、化学エネ媒体物質で
あるNADPHやATPを生産し、この媒体エネを利用して、二酸化炭素CO2を還元して炭水化物C6H12O6をつくっている(炭酸同
化)。独立(自己生産)・従属(外部摂取)のいずれの細菌もこれらの有機物を分解して得た化学エネ(ATPなど)を利用して、細
菌の基本物質である糖・アミノ酸・核酸・脂質などを合成し、さらに細菌体を維持・構成・複製するタンパク質(酵素)・細胞膜
(壁)・遺伝子などをつくっている。なお、これらの詳しい化学反応(代謝)については、別ページで詳しく説明する。
表1 独立栄養細菌のエネルギー源と細菌種
細菌の分類と名前
4.細菌の構造
細菌は小さな生物であるが、地球上にはおびただしいほどの数がいる。土1gには数十億個、水1mLには数十万個いるといわれる。人(約37兆個の細胞でできている)をはじめとする真核生物も細胞から構成されているが、原核細胞は大きく異なり、細菌はひとつの細胞だけで生きている。
4-1.基本構造(1)ヒトの細胞と異なること
細菌の細胞は動物細胞よりは植物細胞に近いが、多くの点で真核生物と異なる。他の生物と同様、細胞膜、細胞質および各が存在す
るが、細胞壁をもち、核膜で囲まれた核がなく、細胞質と核との境界が不明瞭である。また、真核生物の細胞に見られるミトコンド
リア、葉緑体、小胞体、ゴルジ体、中心体など、ほとんどの細胞小器官は存在しない。
呼吸に関わる解糖系やクエン酸回路系は細胞質内で、酸化還元反応は細胞膜内の電子伝達系で行われる。光合成や化学合成を行う細
菌(独立栄養細菌)も存在するが、これらを行う小器官も存在しない。
(1)細胞壁
細菌はペプチドグリカンを基本構造とする細胞壁をもつ点で、他の生物と異なる。細胞壁は一定の形状、硬さをもち、浸透圧などか
ら菌体を保護する役目を担っている。
グラム陽性菌は1層の厚いペプチドグリカン(タイコ酸やリポタイコ酸など)を、グラム陰性菌は3層(外膜、リポタンパク質、ペプ
チドグリカン層)から細胞壁を構成している。外膜はさらにリピドAやリポ多糖体からなり、O抗原として血清型の判別にも応用さ
れている。
(2)細胞膜
膜は2重のリン脂質層からなり、選択的透過性をもつことが特徴である。多種のタンパク質が混在しているが、その多くが酵素(チト
クローム酸化酵素、透過酵素、加水分解酵素など)である。
(3)細胞質
明瞭な構造物はなくコロイド上であるが、RNA(タンパク質合成に関与)、リボソーム、種々の酵素が存在する。小胞体、ミトコン
ドリア、ゴルジ装置などがないのが細菌の特徴である。
(4)核
細菌には核膜がないので、核がどこにあるのかはっきりしない(原核生物)。染色体などは細胞質質に存在し、2本鎖DNAで感情構
造となっている。
(5)プラスミド
DNAが環状になったもので、細菌の遺伝子情報の一部を記録する。
図6 細菌の細胞構造の模式図(Kindle)
図6 細菌の細胞構造の模式図(Kindle)
4-2.基本構造(2)細菌の付属器官
細菌の種類により付属器官の有無は異なるが、特殊構造として以下の器官をもっている。
(1)莢膜、粘液層
明瞭な厚い膜状構造(莢膜:きょうまく)、あるいは薄く不明瞭な構造(粘液層)を持っている。
莢膜は多糖体あるいはポリペプチドからなり、シールドを形成し、好中菌やマクロファージによる食作用に抵抗するめ、病原性が強
くなる。
粘膜層は接着などに関与し、バイオフィルム(膜様構造)を形成する。K抗原として血清型別にも利用されている。
(2)鞭毛
長さ10μm、径10~30nm、タンパク質からなっている。運動性に関与し、菌により形状(極単毛、極多毛、周毛)が異なるのが特
徴である。H抗原として血清型別(例、O157:H7)にも利用されている。
(3)線毛
付着線毛は鞭毛より細く多数で、細胞などに付着に関与している。性線毛は細胞と細胞の接合に関与して遺伝情報を伝達する。グラ
ム陰性菌に存在し、タンパク質の繊維状構造となっている。グラム陰性菌に存在し、タンパク質の繊維状構造となっている。
(4)芽胞
3層の厚殻から構成され、染色体DNAと水分量の少ない濃縮状態の細胞質を含む。
バチルス属やクロストリジウム属のみ見られる構造で、菌種によって形成位置(中心・偏在・端在性など)が異なる。
環境条件が悪くなる(乾燥や栄養欠如)と出現し、数年以上も休眠状態をとることができる。環境が良好になると発芽して栄養型と
なり、分裂を開始する。
熱、乾燥、雅楽療法剤、消毒剤などに抵抗性をもち、通常の煮沸では死なず、乾熱滅菌や高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)などで死
滅する。
図8 鞭毛と芽胞の形態(Kindle)
<解説>細菌は動く
動物は自由に動くことができる。草木植物は動かず同じ場所で生きている。多くの細菌は鞭毛というものによって動くことができる。4.2 基本構造(2)細菌の付属器官でも触れたが、改めて解説する。
(1)極鞭毛
細菌体の片側または両側に生えている鞭毛を極鞭毛という。1本または数本が伸びており、極鞭毛はスクリューのように回転すること
で素早く移動することができる。
(2)周毛
体の周囲に多数の短い鞭毛が生えている。これを周毛といい、毛は1本1本が細い傾向にある。この多数の周毛を動かして移動する。
(3)滑走
鞭毛をもたないが、移動できる細菌もいる。その代表が滑走細菌である。この細菌は個体表面を滑るようにして移動する。
<解説>抗原とは
抗原は、免疫細胞表面の抗原レセプター(抗原受容体)に結合し、免疫反応を引き起こさせる物質の総称である。抗体やリンパ球の
働きによって生体内から除去される。通常、細菌やウイルスなどの外来病原体や人為的な注射などで体内に入るタンパク質などが抗
原となるが、自己免疫疾患では自分の体を構成している成分が抗原となって免疫反応が起きてしまう。ここで、細菌検査や免疫反応
に係る抗原について、簡単に説明する。図6と7を参照されたい。
(1)O抗原
細菌の外膜(細胞壁)に存在するリポ多糖は、数種類の糖が繰り返しつながっている。その糖の種類とつながり方が異なって現れ
る。大腸菌には170種類のO抗原が知られている。O157はその157番目ということである。
(2)K抗原
莢膜抗原のこと。ドイツ語のKapselに由来する。莢膜(粘液質)を構成する多糖類の種類によって分類する。
(3)H抗原
鞭毛抗原のこと。鞭毛は繊維状構造を形成し、この繊維を回転させることで運動性を有する。ドイツ語のHauchからHと名付けられ
た。なお、O抗原はOhne houchに由来している。大腸菌では60種ほどの種類が知られている、O157:H7の場合はその7番目とい
うことになる。
(4)F抗原
線毛(fimbriae)抗原のこと。鞭毛より細く短く繊維状の構造体菌体周囲を取り巻いている。莢膜とともに好中菌の貧食に対する抵
抗因子であり、粘膜状川細胞への定着性に関与している。
<解説>染色
細菌のみでなく、多くの細胞は無色透明であるので、無染色での観察は困難である。最も頻用されている染色法はグラム氏が開発し
たグラム染色である。クリスタル紫で青に染まる細菌をグラム陽性菌、サフラニンでピンク色に染まる細菌をグラム陰性菌という。
具体的操作は、①青で染める、②脱色処理する、③赤で染める。グラム陽性菌は細胞壁が厚く、①の操作でいったん青に染色される
と、②の脱色処理しても青色が残る。グラム陰性菌は細胞壁が薄いので、①で青に染まるが、②の操作で脱色されて、③でピンク色
に染まるのである。図7に示す細胞壁の形状を参照されたい。
グラム染色だけでなく、細胞の構造的特徴を利用して、特定細菌の染色や細胞構成物質の染色により、細菌の診断ができる(特殊染
色:汎用染色法の一覧)。例えば、抗酸菌染色、鞭毛染色、芽胞染色、莢膜染色などがある。
細菌の構造
5.細菌の増え方
生物にとって自分の子孫を残すことは極めて重要なことである。単細胞生物である細菌の増え方には、多細胞生物には見られない独自の戦略をとっている。
5-1.細菌の増殖
(1)分裂
単細胞生物は、基本的に分裂によって数を増やしている。分裂は、1個の個体が2個に分かれることから二分裂とよばれる。1個が2
個に、2個が4個に、倍々ゲームでn回繰り返すと2n個になる。n = 10で1,024個となり、急激に数を増やすことができる。
2分裂に要する時間を世代時間という。大腸菌やサルモレラ菌は20分、ブドウ球菌は30分、結核菌は16時間である。
図9 細菌の増え方
tg = 20分とすると、n = 72回/日となり、1個が1日経過すると272 = 4.72 x 1021個となる。
細菌は図10のような増殖曲線を描いて増殖する。細菌の増殖は環境条件によって大きく作用される。培養液を含む容器に細菌を移植して増殖の様子を観測すると、誘導期(細菌の分裂準備期間)→ 対数増殖期(細菌が一定速度で増加)→定常期(増殖する細菌数と死滅する細菌数が等しい)→ 減数期(生息環境悪化により、死滅する細菌数が多くなる)をたどる。
図10 細菌の増殖曲線
(2)出芽
細菌の一部が膨らんでいき、新しい細菌ができる(図8参照)。元の細菌はそのままの形を保っている。出芽直後の新しい細菌はも
との細菌とくっついたままの状態であるが、多くは時間が経つと細菌同士は離れていく。
5-2.細菌の増殖因子
(1)温度
至適発育温度は一般に37℃前後であるが、環境に適応したいろいろな細菌がいる。高温菌には45~75℃で生息可能な菌(硫黄菌、
温泉菌)、50~60℃で生息可能な菌(バチルス、クロストリジウム属菌)、さらに100℃以上で生息可能な菌(超高熱菌、耐高温
菌)もいる。中温菌として、15~45℃で生息可能な病原菌などの一般細菌や、真菌などがいる。低温菌には、0~25℃でも生息可
能好冷菌や水中菌、発光菌、腐敗菌がいる。5℃以下で生息可能なのはボツリヌス菌、エルシニア菌などで、さらに-10℃で生息可
能な菌(耐冷凍菌)もいる。
(2)湿度
細菌が利用できる水分を水分性Awという。外界からの栄養吸収や細胞内の代謝は水を溶媒として行われるため、水分活性が高いほ
ど増殖しやすくなる。低下するにつれて細菌の発育は阻止される。カビはAwが0.65以上、一般細菌はAwが0.90以上ないと発育で
きない。
(3)酸素要求性
細菌が好む酸素条件として、以下のようなものがある。
a) 好気性:発育に酸素が必要で、呼吸によって発育する。
(例)緑膿菌、結核菌、真菌
b) 微好気性:生存条件が3~10%程度の酸素に限られる。
(例)キャンピロバクター、ヘリコバクター
c) 通性嫌気性:酸素有無に無関係で、無酸素では発酵を行う。
(例)腸内細菌、赤痢菌、コレラ菌、酵母、乳酸菌
d) 偏性嫌気性:酸素があると発育できない。死滅する菌もいる。
(例)芽胞形成菌のボツリヌス菌、ウエルシ菌
e) CO2要求性:CO2が5~10%あるとよく発育する菌がいる。
(4)水素イオン濃度(pH)
一般に中性~弱アルカリ性(pH6.8~8.0)が増殖最適pH(血液pHに類似)である。
a) 抗酸性:酸に抵抗性がある。
(例)結核菌
b) 好酸性:酸性でよく増殖する。
(例)乳酸菌、真菌(pH5.0~6.0)
c) 好アルカリ性:アルカリ性でよく増殖する。
(例)コレラ菌、腸炎ビブリオ菌(pH8.2)
(5)塩類・浸透圧
a) 通常 :NaClは0.85%が細菌の増殖最適条件である。これはヒト血液の濃度と同じ。
b) 好塩性:NaClが2~10%でなければ発育しない。
c) 抗塩性:NaClが10~15%であっても生存し、増殖できる。
5-3.細菌の培養
細菌や真菌の検査や分離を行うために培地が用いられる。培地には、液体培地、固形培地(寒天で固形化したもの)がある。固形培
地には、平板寒天培地という菌の分離や選択に利用するものや、試験管培地という生化学的性状を調べる培地などがある。
リケッチャやクラミディアなどは生きた細胞が必要で、試験管内で培養した細胞(細胞培養または組織培養という)に感染させて増
殖させる。
細菌を平板培地に接種すると1個の細菌が2分裂を繰り返し、1個のコロニー(目で見れるほどの大きさとなる。これを集落とい
う。)を形成する。
図11 培地の種類(Kindle)
細菌の増え方
6.他遺伝子の導入と細菌の形質変化
遺伝情報はDNAに組み込まれていて、親から子へ伝えられる。しかし、親とは異なる形質をもった子孫が出現することがある。これを(突然)変異という。また、別の細菌が持っていたいたDNAが形質転換、接合、形質導入などにより伝達され、菌の性質が変化することもある。伝達されるDNAは、細菌の染色体由来のDNAであるケースとプラスミド由来のDNAであるケースがある。なお、遺伝情報の複製・発現については、別ページで解説する。
(1)形質転換
ある細菌の遺伝的性質(形質)が、一つの細胞から他の細胞に移ることを形質転換という。
例として肺炎球菌が有名である。肺炎球菌のS型菌(smooth)は莢膜をもち病原性があり、コロニー表面は滑らかな円形である。
一方、R型菌(rough)は莢膜も病原性もなく、溶菌しやすくなる。コロニーはほぼ円形で平坦であるが、表面は粗くなっている。
実験的にR型の生菌およびS型の死菌の混合液をマウスに投与すると、形質変換によってR型生菌は病原性を獲得し、結果的にマルス
は死亡してしまう。実際には、グラム陽性菌にリゾチームを作用させてプロトプラスト(原形質や細胞壁を取り除いたあとの細胞膜
につつまれた形質塊)にして行う。
(2)接合
遺伝的に標識されている2種の大腸菌を混ぜると、それぞれの細胞の一部が融合(接合)し、有性生殖を行うようになる。たとえ
ば、F(+)菌(Fプラスミドをもつ雄性菌)およびF(-)菌(雌性菌)は、単体では無性生殖を行うが、両者を混合すると、粘着性のあ
る性線毛が、F(-)菌をとらえ、性線毛をたぐり寄せて接合する。F(+)DNAが接合管を通ってF(-)菌に移り、F(+)菌が出現する。こ
の間わずか約2時間である。また、接合により、Rプラスミド(薬剤耐性因子)を獲得し耐性化する現象も知られている。
(3)形質導入
ある遺伝子(DNAあるいはプラスミドの断片)がファージによって他の菌に移り、その形質が変わる現象のことで、その結果、形質
導入体(trans-ductant)ができる。テンペレートファージのみ可能であり、サルモレラ、赤痢菌、大腸菌、ブドウ球菌などで知ら
れている。導入する遺伝形質としては、栄養要求性や薬剤抵抗性などのほか、抗原性、糖分解能、運動性など種々の形質変化があ
る。
図12 細菌への他遺伝子の導入と形質変化
他遺伝子の導入と細菌の形質変化
7.ウイルス・細菌・カビの違い
細菌は細胞をもち、栄養を取り入れて増殖する。遺伝子情報を記録しているDNAは細胞質内に存在する。
カビも細菌と同様に栄養を取り入れて増殖するが、次の2点で異なる。遺伝子情報を記録しているDNAは膜により包まれている。細胞内にはミトコンドリアを有して、酸素呼吸によるエネルギーを生産している。ミトコンドリアは別の細菌であったが、進化の過程で取り込まれた。独自の遺伝子を持っている。
ウイルスは細胞を持たず、単独で増殖できない。他の生物を利用して増殖するので、生物と物質の中間として扱われている。遺伝情報を記録している核酸はタンパク質の殻で包まれている。核酸はDNAだけでなくRNAが使われることもある。一部のウイルスはエンベロープとよばれる膜に覆われていることもある。
生物は、大きく分けて、遺伝情報から真核生物(ヒトも含まれる)、真正細菌と古細菌(アーキア)の3グループに分けられている。真正細菌も古細菌も一つの細胞で生きる単細胞生物で、同じように見えるため、以前には細菌として扱われていた。しかし、リボソームRNA分析によって全く異なる生物で、古細菌は真核生物に近い生き物であることが明らかとなった。
なお、古細菌・ウイルスに関する詳しい説明は、それぞれ別ページに記載する。
(1)細菌
バクテリアとも呼ばれる。細胞内に遺伝情報を維持する染色体(Genome:ゲノム)が存在するので、原核生物とよばれ、ひとつ細
胞だけで生命活動を維持している。
(2)古細菌
アーキアともよばれる。古細菌は、原核生物でひとつの細胞だけで活動するが、細菌とは別グループに属し、どちらかというと真核
生物に近い生物である。
(3)真核生物
細胞内に核とよばれる膜で包まれた染色体をもつ生物で、人を含む動物・植物・菌類などはこのグループに入る。
ウイルス・細菌・カビの違い
8.細菌の免疫機構
細菌は、土壌・水圏・生体内など、様々な環境に生息している。それと同時に細菌に感染するウイルス(バクテリオファージ、以下、ファージと略称)も多数存在する。ファージは環境中細菌の個体数の1~10倍程度存在しており、細菌は常にファージの脅威にさらされ、1日で20%がファージ感染により死滅しているといわれる。宿主細菌に対するファージの感染・増殖機構は次のように概略される。
(a)ファージが細胞表面に吸着、(b)細胞壁の穿孔とファージ・ゲノムの注入、(c)細菌の自己増殖機構を利用した娘ファージのゲノム・構成物質の複製・合成、(d)娘ファージ体(数100~数1000個)の形成と細胞破壊による放出
これに対して、宿主細菌(以下、細胞と略称)も感染性ファージに対して、次のような防御機構を有している。
①ファージを細胞表面に吸着させない、②ファージ・ゲノムを細胞内に入れさせない、③細胞内に侵入したファージ・ゲノムを切断する、④感染細胞が自殺する。
防御機構①②は、感染・増殖機構(a)(b)を防ぐためで、ファージの吸着に必要な宿主細胞表面上の標的レセプターをマスクすることで吸着を抑え、ファージ・ゲノムの細胞質への注入を阻害するタンパク質を発現することで細胞内へのゲノム進入を防いでいる。
防御機構③は多くの細菌に存在し、様々な仕組みが解明されている。その代表例が制限修飾系であり、90%の細菌が有している。これは修飾酵素による宿主DNAのメチル化により、自己非自己の認識を可能とし、制限酵素によるメチル化されていない非自己DNA(注入されたファージDNA)を切断することによって、ファージの増殖を防いでいる。一例として、下記にCRISPR/Cas系を解説している。
防御機構④であるが、これはファージが細胞内で増殖する前に,toxin-antitoxin系などを用いて自ら死を選ぶ防御機構である。防御機構①~③はファージに感染した細菌自身を守る防御系であったが、この防御機構は自身を犠牲にすることでファージの拡散を防ぎ、同種細菌の集団を守る利他的な防御機構であって、不稔感染と呼ばれている。
<解説>CRISPR/CAS系
非自己DNA切断機構の一つであるCRISPR/Cas系は40%の細菌で保存されているDNA切断によるファージに対する防御機構である。CRISPR/Cas系ではファージに感染すると細胞内に進入したファージDNA中の30塩基ほどが切り出され、細菌ゲノム中のCRIPSR領域に挿入される(図13左)。CRISPR領域から転写されたRNAはCasタンパク質と複合体を形成、そのRNAがガイドとして働き、同じ配列を持つファージDNAにCasタンパク質を導き切断する(図13右)。そのため、CRISPR/Cas系は細菌における獲得免疫機構であるといえる。
CRISPRとはClustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeatsの略で、近年原核生物でファージやプラスミドに対する獲得免疫機構として機能していることが判明したDNA領域のことを指す。図13左に示すように、CRISPRはリピート配列とスペーサー配列という2種類のDNA配列の繰り返しによって構成されている。リピート配列は同一のCRISPR内では共通した塩基配列だが、スペーサー配列はそれぞれ特異的な塩基配列をしている。CRISPRの上流にはリーダー配列と呼ばれる AT rich(A:アデニン、T:チミン)な領域が存在し、さらに上流にはCRISPR-associated genes(cas遺伝子群)が存在する。
あるファージ・ゲノムが細胞質へ侵入してくると、Cas1タンパク質がProto-spacer Adjacent Motif (PAM) 配列を認識し、その上流数十bpを切り取り、リピート配列とともに自身のCRISPR領域の上流側に挿入する(免疫の獲得)。
免疫を獲得した細胞が同種のファージに感染すると、図13右に示すように、CRISPR領域は一連のpre-crRNAとして転写された後、Casタンパク質複合体によってリピート配列が切断され、crRNAとなる。crRNAは別のCasタンパク質と複合体を形成し、スペーサー配列と相補的な配列(侵入したファージ・ゲノムを構成する一部の特異な塩基配列)を認識・切断除去する。
図13 CRISPR/Casシステムによる新規スペーサー獲得(左)と外来ゲノム排除機構(右)
引用:京都大学医学研究科微生物感染分野:https://www.tmd.ac.jp/grad/bac/CRISPR.html
細菌の免疫機構
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