❑ KABの役割
①汚泥基質化の促進
②既存の微生物の生態系の活性化(食物連鎖や代謝の活性化)
③KABを構成する微生物の高い分解力
④固液分離力の向上
・KABは、曝気槽等への継続的な添加(図1)によって、既存自然菌と共存し、汚泥分解の阻害要因となるペプチドグリカンを溶解
(基質化)(図2)し、曝気槽の既存微生物の食物連鎖や代謝を活性化(図3)させることにより基礎的な分解力を向上させます。
・同時に、KABを構成する微生物独自の働きによって分解力を更に向上(図4)させます。
・KABは固液分離を促進し、汚泥密度を高めることにより、バルキング現象の発生を抑制します。
・活性汚泥の状態が健全で、設備が適切に運転されている状況下では、沈殿槽の汚泥界面を上昇させることはありません。
・沈殿槽で分離沈降した汚泥は引き抜きを行わず、適切な量を曝気槽に返送します。(余剰汚泥として廃棄しません)。
・KABの効果を最大化するには、排水処理設備の運転管理が最適化されていることも重要な要素になります。
・JFSは、KABの活用に併せ設備の運転管理に関するコンサルティングも行わせていただくことにより、効果の最大化を図っています。
・KABを使用し、汚泥の発生と分解の均衡を図った結果、曝気槽のMLSS・MLVSSは通常1.3倍~2倍程度まで高まります。
(高濃度運転管理を行っている場合はMLSS・MLVSSが下がる場合があります。一方、2倍以上になる場合もあります。)
・KABは微生物の構成と添加量の調整によって、排水処理設備で処理する排水の性質や処理量等に応じてバランスさせ、汚泥発生と
分解のバランスを最適化することにより、余剰汚泥の発生を大幅に削減し、最大効果としてゼロ化を実現します。
図1 KAB添加のイメージ
図2ー1 基質化汚泥の分解・消化過程のモデル1
図2ー2 汚泥基質化のイメージ
図3 活性汚泥微生物の食物連鎖
図4 活性汚泥微生物による代謝
❑ 余剰汚泥ゼロ(汚泥減量)化モデル
1.汚泥発生のマスバランス
排水中の有機物(その量はBODで示す)は曝気槽などの反応槽内の微生物に摂取され、生命維持のエネルギーとして消費されると
ともに、細胞合成(微生物の増殖)に利用される。
これを一般式で示すと、汚泥増殖量ΔXまたは増殖率ΔX/Xは、下記の式(1)または式(2)で示される。
ΔX = aSr – bX (1)
ΔX/X = aSr/X – b (2)
ΔX: 汚泥増殖量 [kg-MLSS/日]
a: 除去BODの汚泥転換率 [-]
Sr: 除去BOD [kg-MLSS/日]
b: 内生呼吸による自己分解率 [/日]
X: 反応槽内の微生物量 [kg-MLSS]
ΔX/X: 汚泥増殖率
同類の微生物でも負荷量S(容積負荷Γ)と微生物量X(微生物濃度MLSS)または汚泥負荷S/X(Γ/MLSS)によって、ΔX/Xが
大きく異なる。
余剰汚泥ゼロ化(汚泥減量化)技術において、ΓやMLSSの設定は汚水浄化システムの設計や操作の重要な因子となる。
表1は、好気性微生物を用いた各種活性汚泥法の操作条件。これらの活性汚泥法に余剰汚泥ゼロ(汚泥減量)化技術を導入する
と、設計条件や操作因子がどのように変化するか定量的にモデル化する。